2021年個人的ベスト ノイズ編
皆さんお疲れ様です。今年はノイズやプログレ、サイケ、ニューウェーブなどの音源をこつこつと集めていました。その中でもノイズ系の今年リリースされた新譜を12枚紹介したいと思います。
12,Rope Society / Am Not – Диархия
Label:Novichok
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/17157199-Rope-Society-Am-Not-Диархия
スプリット7インチ。Rope Societyは恐る恐る箱の蓋を開封するようなまあまあ細めの糸を連想させるノイズに、エフェクトでディストピア的に演出された声が交わる。Am Notは常に感電して痺れ続ける、視界が晴れず希望も見えないノイズ。
11,Will Over Matter – Aviation Hypnosis
Label:Freak Animal Records
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/20769871-Will-Over-Matter-Aviation-Hypnosis
オカルトエレクトロニクス。凸凹した荒々しい道を自転車で走行しているような、ミニマルで反復的なノイズの波長が心地良く癖になりそう。まるで原点を思い出させる素晴らしいこれぞインダストリアル。アートワークも物騒で◎。
10,
Hate Sermon – Steel Fortress
Label:Gutter Disease
Bandcamp
https://hatesermon.bandcamp.com/album/steel-fortress
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/18164368-Hate-Sermon-Steel-Fortress
抑圧的なパワエレ。ノイズらしい白黒の金属的なアートワークが肝。去年の夏から秋にかけて録音されたそう。頭上でヘリコプターが飛んでいるかのような重圧感、耳の奥の鼓膜を破壊しに訪問しそうな鉄製のイヤーピックと見せかけたドリルみたいでパターン豊富。
9,Olympic Hopes – Luxor
Label:Phage Tapes
Bandcamp
https://phagetapes.bandcamp.com/album/luxor
Discogs
https://www.discogs.com/release/18360085-Olympic-Hopes-Luxor
歪みに任せいっそエネルギーを抑え込んだ、今にも勢力を広げ、より凶暴になりそうなローファイでそわそわしたアブストラクトな空気感がこちらをじろりと覗いてくる。パワエレパートの声も世界観に浸透している。曖昧さが病みつきになりついおかわりしたくなる。
8,Meatpacker – The Possessed
Label:Total Black
Bandcamp
https://totalblack.bandcamp.com/album/the-possessed
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/19488436-Meatpacker-The-Possessed
ジャケが厚紙で高級感。いつまでも毎晩新月が続くようなシンセをバックに陰鬱とした湿っぽいパワエレ、歪み具合が気持ちいい火花が飛び散りそうなメタルパーカッションの祭典など、散りばめられた10曲が勢揃い。個人的には人気のPacking Plantへのオーダーにもいつか挑戦してみたい。
7,scum – Life Sentence
Label:Aussaat
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/17379883-Scum-Life-Sentence
次から次へと360度枝分かれし展開していくジャンクションを駆け抜けるような疾走感あふれるハーシュ、底なし沼から必死にもがくような湿ったノイズなど濃い内容。カセット付き限定版もあり。Le SyndicatのZorïnが作成したという新しいロゴステッカーも特典として付属しクール。
6,Scopophilia – Violent For Being Sexually Desired
Label:Old Europe Cafe
Bandcamp
https://himukalt.bandcamp.com/album/violent-for-being-sexually-desired
Discogs
https://www.discogs.com/fr/release/20259538-Scopophilia-Violent-For-Being-Sexually-Desired
HimukaltのEster Kärkkäinenと
Military PositionのHarriet Kate Morganによるプロジェクト。内アートワークは服を着ていないセクシーな女性の姿が並ぶ。追い風を受けるようにビートが挿入されたノイズの展開が上手。最新のポストパワエレ(造語)を堪能できる。
5,Leah P – Surviving The Familiar
Label:Oxen
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/19426501-Leah-P-Surviving-The-Familiar
過去には東京と大阪でライブを行っているノイジシャンによるアルバム。ひたすら清潔な水を濡らした汚れに塗れた雑巾から、しぼり取るようなシンセの音色が響くハーシュ。部屋の電気を消して聴いたら大海原で遭難しているような気分を味わえるだろう。
4,Blackalphawolf – s/t
Label:Death in Venice Productions
Bandcamp
https://deathinveniceproductions.bandcamp.com/album/blackalphawolf-s-t
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/18201940-Blackalphawolf-Blackalphawolf
アニマルライツ運動を支援するイタリアの匿名パワエレプロジェクトによるセルフタイトル。全体的に声があまり目立たないようイコライザーを調整しているのだろうか。むしろそれが味になっている。ホワイトノイズに近い音が、料理における香辛料の用途のように挿入される場面も。
3,Vonsechsundachtzig – Permission To Die
Label:Unrest Productions
Bandcamp
https://vonsechsundachtzig.bandcamp.com/album/permission-to-die
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/19008799-Vonsechsundachtzig-Permission-To-Die
連続的に放たれるシンセに歌い上げるような語りが特徴的なインダストリアル。別の曲は何km走りもがいても闇が晴れず憂鬱だが、一方で精神を集中できそうで粋な持続音まで。ひび割れのようなノイズも進入してくる。銀色のペンで書かれた100部限定シリアル入り。
2,Brandkommando – Opus Nocturne
Label:Mask of the slave
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/19792552-Brandkommando-Opus-Nocturne
今年6月に自宅スタジオで録音されたものだそう。ピンク色したカセットとケースの発色が綺麗でずっと眺めていられる。一見ホワイトノイズのような透き通る清潔なハーシュを投球してきたかと思いきや、縄跳びの紐を蛇のようにウネウネさせたみたいな華麗なノイズに変身。
1,Hanzo Hasashi – Ikigai
Label:Flag Day Recordings
Bandcamp
https://flagdayrecordings.bandcamp.com/album/ikigai
Discogs
https://www.discogs.com/ja/release/18677116-Hanzo-Hasashi-Ikigai
神々しいアンビエントかと思えば秒数を重ねるごとに暴力的になっていく。まるで雄叫びを上げているかのよう。計算されているだろう、ビート無しに舞を踊るスプリンクラー。次々に変化する展開に両目ではなく両耳が回ってしまうかもしれない。カットアップハーシュ好きにもマスト。
では良いお年を!